イノシシ村のお願い | 2024
看板、電光表示器、ホーンスピーカー
サイズ可変
かつて六甲山には「イノシシ村」と呼ばれる地域がありました。人々は野生のイノシシに餌を与え、交流を楽しんでいました。しかし、人慣れしたイノシシは襲ってくるようになり、やがて餌付けは禁止となりました。現在では「エサを与えないでください」看板など、様々なお願いが乱立しています。人や集団、地域、そして時代に応じて、それぞれの「お願い」があるようです。
「動物と人間の関わり」を主題に制作する作者は、これまでも全国各地でそれぞれの土地や時代における関係性をリサーチし、作品を発表してきました。今回は六甲山上に多く出没するイノシシを題材として、猟師やハイカー、六甲近辺の住民、野生動物に関する研究所にインタビューすることで多角的な視点からイノシシを見つめます。かつて六甲山には「イノシシ村」と呼ばれる場所があり、人々は野生のイノシシに餌を与えて交流を楽しんでいました。そのうち人馴れしたイノシシが街に出てゴミを荒らしたり人を襲ったりするようになったことで餌付けは禁止となり、現在では六甲山中にさまざまな「餌やり禁止」の看板が見られます。本作では、大量のお願い看板が立ち並びます。辺りにはアナウンスが響き渡り、中心の電光看板には人々が「お願い」する姿が表示されています。時代や地域、人や集団によって変化するイノシシと人間の関わり方を、作者はお願い看板を通して鑑賞者へ投げかけます。(本芸術祭キュレーター鷲尾)
展覧会|神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond
協力|兵庫県猟友会摩耶支部支部長 寺口和彦
撮影| 高嶋清俊